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2022.06.06

長野のEDISTORIAL STOREに行ってきた

スタイリストの小沢宏さんが故郷の長野県上田市に作ったサステナブルな”編集型セレクトショップ”

長野のEDISTORIAL STOREに行ってきた[編集人ブログ]

Content

スタイリストの店主・小沢宏さんとは?

決意のUターン

デッドストックから“ライブストック”へ

EDITORIAL + STORY = EDISTORIAL STORE

上田のデスティネーション・ストア

スタイリストの店主・小沢宏さんとは?

2022年5月1日に長野県上田市にオープンしたセレクトショップ、EDISTORIAL STORE(エディストリアル ストア)に行ってきました。

お邪魔したのはオープンからちょうど1ヶ月後の6月1日。この日はこのお店の「プレスツアー」ということで、自分のようなファッションメディアの編集者だけでなく、UNITED ARROWS 上級顧問の栗野宏文さんや、2Gなどでも活躍中のファッションキュレーター 小木基史さんなど、メンズファッション界でその動向が注目される方々も参加していました。

EDISTORIAL STORE

こちらがお店の外観。上田の駅から5分くらいの場所にあります。

このショップを作ったのは、ベテランスタイリストの小沢宏さん。
小沢さんは20代の頃に雑誌『POPEYE』の編集アシスタントを経てスタイリストとして独立。

雑誌やカタログのスタイリングにとどまらず、自らセレクトショップの立ち上げや自身のブランドも手がけ、多くのお弟子さんも輩出。メンズファッションを中心に大活躍してきた人物です。

EDISTORIAL STORE

スタイリストでEDISTORIAL STOREの店主 小沢宏さん

ここで小沢さんについて少し補足を。
いわゆるベテランスタイリストというと、ちょっと怖い印象の人も多いのですが(個人の感想です!)、小沢さんはこれだけの実績を持つにもかかわらず、人当たりも柔らかく、とても話しやすいお方。

このEDISTORIAL STOREでは自ら接客もされますが、楽しいお話が聞けるのは間違いありません。

そして小沢さんを説明する上で欠かせないのは、“無類の洋服好き”であること。スタイリストという仕事柄当たり前のように思われるかもですが、小沢さんはその究極のお一人かもしれません。自ら大量の服を購入し、誰よりご自身がコーディネートを楽しんでいることがご本人のSNSからも伝わってきます。

決意のUターン

その小沢さんから「ちょっと聞いて欲しいことがあって」とメッセージをいただいたのが昨年秋のこと。それがこのEDISTORIAL STOREの構想でした。

小沢さんは「東京での生活を引き払って、故郷の上田市に戻ってセレクトショップをやります。メーカーの経年在庫にフォーカスした新しいコンセプトのショップです」と教えてくれました。

まず印象的だったのは「自ら退路を断つ」という言葉。

「あえてそこまでしなくていいんじゃないですか? 東京の仕事も継続された方が」と感想をお伝えしましたが、本人の意思は固く、その後まさに有言実行で東京を後にし、お店を開業されました。

EDISTORIAL STORE

マンションの掲示板のようなこちらはあえて小沢さんが取り付けたもの。

その日、中目黒のカフェで聞いた小沢さんのお話には、個人的に共感する部分が沢山ありました。

まず、「故郷に戻って地元で、自分で店を」という部分は自分ともリンクするものでした。

実は僕自身も4年ほど前に、25年くらい住んだ東京を離れて、地元である栃木県に戻ってきました。

僕の場合は取材や打ち合わせなど仕事のほとんどは東京なので、都内に仕事場も持ち、結局2日に1回くらいは都内に通っているわけですが、とはいえ毎日行くほどでもない

むしろ地元にも仕事場のような拠点は欲しいと思ったのと同時に地元でのコミュニティの場も作りたかったので、駅の近くに小さな店兼作業場を作りました。

でもあくまで趣味の延長のようなお店。お客さんもそんなに来ないので、ほとんどの時間は書き物仕事をしながら過ごす、完全不定休のショップです。(興味のある方は下記のリンクをどうぞ。コーヒー豆やTシャツなど売ってます)

Roaster Gallery Small Mountain
https://www.smallmountain.jp

小沢さんに「東京の拠点を残してもいいのでは」とご進言したのは、ちょっとした流行りのようになっている「2拠点生活」をまがりなりにも自分が実践して、それなりに成立しているから。

オンラインも便利になってきた時代だし、どちらか一方にするのではなく、あえて“どっちも取る”のでも良いのではと思ったのです。だって長野の上田まで東京から新幹線に乗れば1時間半くらいですから。
EDISTORIAL STORE

でも小沢さんはあくまで地元のお店にフォーカスする道を選ばれました。

東京で長年活躍してきたスタイリストさんが東京を離れるというのは相当の決意。東京って「上京」するのは割と簡単だけど、「下京」するのは物理的にも精神的にも大変なのです。

デッドストックから“ライブストック”へ

EDISTORIAL STORE

小沢さんのお話でもうひとつ共感したのは、「メーカーの経年在庫」を自らの目利きで仕入れて、それをスタイリスト流に再提案する、という斬新な販売方式。ただのセレクトショップでも、古着屋でもないという、新しい挑戦です。

近年アパレルの不良在庫やその廃棄の問題がサステナビリティの観点からも批判されていますが、そこに切り込むアイデア。

ブランドも在庫の問題には頭を抱えつつ、SALEや値下げの頻発はブランド価値を毀損する恐れもあるため、避けたいところ。だったら廃棄してしまおうという流れだったわけですが、近年は世界的に疑問視されています。

EDISTORIAL STORE

それなら信頼できる人、特に小沢さんのような実績のあるスタイリストさんの店になら在庫を卸せる、という流れになったのは理解できます。

EDISTORIAL STORE

EDISTORIAL STORE

でも、あくまでその時点では世の中から必要とされなくなっているモノたち。それが“デッドストック”と呼ばれる在庫になるわけですが、その中から小沢さんが厳しいスタイリストの目線で、「提案の仕方によってはまだいける!」と踏んだものがEDISTORIAL STOREのお店に並ぶというわけです。

EDISTORIAL STORE

EDISTORIAL STOREのタグには小沢さんが作ったカテゴリーとチェックボックスが。

それを小沢さんはデッドストックではなく、“ライブストック”と名付けました。“死んだ在庫”から“生きた在庫”へ。この言葉遊びの中にも、小沢さんの服に対する愛を感じてしまいます。それは商品ひとつひとつに付けられた、小沢さん手書きによる商品のストーリー解説に表れています。

EDISTORIAL STORE

EDISTORIAL STORE

EDITORIAL + STORY = EDISTORIAL STORE

EDISTORIAL STORE

今回のプロジェクトに至るまでが綴られた文庫本サイズの1冊。ストーリーが詰まっています。¥1,000

今回小沢さんは、ショップの構想は単なるセレクトショップではなく、「雑誌の3D化」を目指したそうです。そこは雑誌メディアを中心に活躍した小沢さんらしい発想です。

自分も雑誌編集者(『EYESCREAM』)だったので分かりますが、雑誌の醍醐味は“編集”です。情報を集めて、特集を考えて、構成を組んで、人を揃えて、取材して、レイアウトに落とし込む。何を大きく見せて、何を削るかを考えて1冊の本にする作業は思ったよりもクリエイティブな行為です。

EDISTORIAL STORE

しかも小沢さんは「雑誌のスタイリングは自由度が高いので、組み合わせの幅が広い。このお店ではハイブランドとカジュアルなものを組み合わせる楽しさがある」と話してくれました。

これもすごく納得。近年メディアのファッションページにはいろいろブランド側からの制約を受けることが多くなっているのですが、それによって雑誌のファッションページがつまらなくなって、自由な着こなしの人が出てくる「スナップ」ページが人気になるのも分かります。

だから広告や貸し出しにヒヤヒヤしている雑誌より、古着屋やこうしたお店の方がファッションの自由度が残っているのかもしれない。そんなことを小沢さんの話を聞いて感じました。

EDISTORIAL STORE

ちなみに小沢さんは、“ライブストック”の他にも、“マッシュアップ”というカテゴリーも作っていて、その中では“ライブストック”をEDISTORIAL STORE流にアレンジしたアイテムも販売されています。

EDISTORIAL STORE

こちらが”マッシュアップ”アイテム。経年在庫にEDISTORIAL STOREのアレンジを加えて再び世に問います。

そして実際アイテムの陳列の際は、小沢さんらしいスタイリングを効かせた状態でディスプレイ。アイテム単体で見るよりも想像力が膨らんで、アイテムがまた違った魅力を放ちます。“ナシ”だったものを“アリ”にする。これぞまさに編集の魅力なのです。

EDISTORIAL STORE

上田のデスティネーション・ストア

いまはどこのECサイトも充実していますが、ECは狙い撃ちでモノを探したりするのには良いけど、「何かが欲しいけど、何が良いのかわからない」時には意外と使いにくかったりします。

その点やっぱりリアル店舗というのは提案しやすいし、見ている側もその提案を受け入れやすい。そういう意味でもEDISTORIAL STOREは行ってみて良さが分かるお店だと思います。

ちなみにお店のビルは4階建て。1Fには小沢さんの奥様による焼き菓子とカフェのお店、EASY BAKE(イージーベイク)とラッピングとギフト雑貨のショップ、Bon cadeaux(ボンカドゥ)が入っているので、近隣の人の日常使いにも最高。

EDISTORIAL STORE

EDISTORIAL STORE

2Fには2つの部屋があり、3Fにも“スタイリングギャラリー”があります。フロアや部屋によって置いてあるものや印象が違うので、回遊しているだけでも楽しい。

EDISTORIAL STORE

僕は以前雑誌『EYESCREAM』で、「デスティネーション・ストア」という特集を3回作って流行らせようとしたのですが、小沢さんもまさに「このお店はデスティネーション・ストアのような、目的地になる店でありたい」と話されていました。

EDISTORIAL STORE

デスティネーション・ストアは、何かのついでに寄るのではなく、ちょっと遠かったり、分かりにくかったりするけど、「そこに行くことが目的になるような魅力のあるお店」のこと。

長野の上田市は、都心からも距離はあるし、ファッション好きがこぞって行くような場所ではないけれど、EDISTORIAL STOREに行くことを目的にするのには最適なお店だと思います。

EDISTORIAL STORE

なぜなら上田市は他にも魅力がいっぱい。実は僕は今回はじめて上田市に行ったのですが、今回の“上田ツアー”で、いくつかのお店を教えてもらって、すっかり好きな街になりました。

古い街並みの城下町に個性的なお店が並ぶ「柳町」(良さげな店が多い!)や、カルチャー系の本が充実し、美味しいお茶まで飲めるブックストア「NABO」さん、そして今回のプレスツアーの会食の場としても使われたナチュラルワインの品揃えが有名なビストロ「Fika」さんなど、それぞれデスティネーション・ストアになる魅力を持った中小個人店が沢山ありました。

街の魅力は、便利さだけじゃなく、どれだけ中小個人店が充実しているかをバロメーターにしている僕にとって、上田は相当魅力的な街でした。そして自然も近いし、街全体がキレイだし、(小沢さんに教えてもらった)蕎麦屋(草笛)も美味い! 蕎麦好きにはたまりません。

たぶんあまり時間を空けずに上田には遊びに行ってしまうと思います。EDISTORIAL STOREは、ちょうどお伺いした当日にオンラインストアもオープンされていて、入荷チェックや小沢さんの目利き商品をどこからでも買えますが、やっぱり1泊2日くらいで上田に行って買い物をすることをオススメします。

服が大好きなスタイリスト・小沢さんに接客してもらえる、それを旅の目的のひとつにしてみてはいかがでしょうか。これからの展開も非常に気になるデスティネーション・ストアです。(武井)

EDISTORIAL STORE
長野県上田市中央2-3-7 KUDOUビル
TEL: 0268-75-8373
https://edistorialstore.com
info@edistorialstore.com
https://www.instagram.com/edistorial_store/

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上田のデスティネーション・ストア

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