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Fashion

2020.07.23

すべて1点もの。OAKLEY(オークリー)がNY在住のアーティスト 山口歴 とカプセルコレクションを発表

アート×アイウェアの「KOKORO COLLECTION(ココロ コレクション)」とは? NYの山口歴(やまぐち めぐる)氏にオンラインインタビュー

すべて1点もの。OAKLEY(オークリー)がNY在住のアーティスト 山口歴 とカプセルコレクションを発表

Content

アート×アイウェアのあたらしい試み

ニューヨークのアーティスト・山口歴さんにオンラインインタビュー

“限界を超える”のはアスリートもアートも同じ

NYの現在、これからのアート活動

アート×アイウェアのあたらしい試み

Text 武井幸久(inGENERAL / HIGHVISION)
取材協力 ルックスオティカジャパン

スポーツ&ライフスタイルブランドとしてアスリートから絶大な信頼を誇る[OAKLEY(オークリー)]が、アートとの協業を具現化したカプセルコレクションを発表した。「KOKORO COLLECTION」という日本語の心(ココロ)という言葉を起用したこの取り組みは、NY在住の日本人アーティスト、山口歴(やまぐち めぐる)氏とのコラボレーションで、このプロジェクトの発表に際して[オークリー]はWHO(世界保健機関)「新型コロナウイルス感染症連帯対応基金」へ20万ドルを寄付。この状況下においてもアスリートの「心」をひとつに連帯感を高めていくメッセージを、プロジェクトタイトルや実際の行動によっても示している。

このプロジェクトに招聘されたのは、現在NY・ブルックリンでアーティスト活動を続けている日本人アーティストの山口歴氏。今回は「立体的で彫刻のような絵画」作品を製作し続けている山口氏に着目し、独自の“筆跡=ブラシストローク”を、[オークリー]のアイウェアの上に表出させることに成功した。

製法としては、ただの「アートワークのプリント」といったものではなく、[オークリー]のエンジニアが開発した特殊な「スピン技法」によって、山口氏のアートワークが1点1点異なった色彩となって再現されている点に注目したい。プロダクト自体は[オークリー]定番のアイウェアやゴーグルを使用しているが、実際に商品ごとにアートワークの表情が異なるため、まさにアートとしての側面を持っているのが大きな特徴だ。

ニューヨークのアーティスト・山口歴さんにオンラインインタビュー

今回は発売に際して『inGENERAL(インジェネラル)』は、NYで活動する山口氏とのオンラインインタビューに成功した。[オークリー]との取り組みだけでなく、山口氏のアートへの向き合い方、そしていまだコロナウイルス渦中のニューヨークの様子など、充実の内容となったので、ぜひ一読いただきたい。

“人の目を気にしていたら本気の力が出ないと思う”

― 今回の取り組みはどういう流れからの始まりだったのですか。

最初はインスタグラムのDMに[オークリー]の方から連絡がありました。日本の方から、「[オークリー]本国の人が連絡を取りたがっているけど、繋いでいいか」と。それが2018年7月のことでした。

― 歴さんは何年くらいNYにいらっしゃるんでしょうか。

2007年からなので、もう13年くらいです。渡米した頃はまだ“アーティスト志望”でした。東京藝大を4浪して、23歳の時まさに“背水の陣”という感じでこの街にやってきて。そこからアーティストアシスタントの仕事で生計を立てていて、27歳の初めての個展で絵が売れたんです。そこからちらほらと売れるようにはなりましたが、32歳くらいまではバイトも並行してやっていました。2017年に[ISSEY MIYAKE(イッセイミヤケ)]とコラボレーションをしたのですが、そこからはずっと絵で生計を立てています。

― 日本を出てNYで活動を始めたのは、やはりアートで生きていくことを目指した上で、NYという街がアートへの理解があることが魅力として大きかったのでしょうか。

それが一番の理由ですね。日本にいたら「30歳超えて絵を描いてるって、それ道楽じゃないの?」みたいに思われたり、そういう意味でも生きづらい。そうやって人の目を気にしていたら本気の力が出ないと思うんですよ。NYは人種もさまざまで色んな人がいるから、そもそも人に構っていられない。自分が一番だし、自分を出してナンボの街。そこが日本との大きな違いですよね。そういうところは制作する上でも重要で、自分が格好いいと思うことを純粋に追求できるという魅力があります。

― 今回の[オークリー]とのプロジェクトでも使われている作風やスタイルは、いつ頃確立していったのですか。

僕が受験に失敗したというのも、そもそも試験官とか教授とか、誰かに気に入ってもらうために絵を描くのが向いていないみたいなんです。そういうのを突き詰めたら、キャンバスの四角の中に描くのも嫌になってしまって(笑)。でもペインティングは好きだから、もっと自由にペインティングをベースにした立体を作れたら新しいんじゃないかと思ってやり始めたのが2016年。そこからは自分も見たことがないものが作れるようになりました。自分の中の“枠を超えたい”という思いが形になったというか。今回の[オークリー]との仕事でも、“立体の絵画作品”として出せたので、自分が今取り組んでいる“絵画が彫刻になった作品”と同じにすることが出来たと思いました。

“限界を超える”のはアスリートもアートも同じ

― 今回は[オークリー]のサングラスの定番モデルとか、そういうある種の“枠がある”中でやったお仕事かと思うのですが、そこは歴さん的にはストレスにはならなかったですか?

いえ、作品がキャンバスを飛び越えてサングラスになったりするのは、“カルチャーを越境する”じゃないですけど、サングラスとして人のライフスタイルの中に入っていくようなことなので、面白かったですね。

― ファッションとアートの取り組みはよく見受けられますが、スポーツとアートって実はあまり接点がない気がします。そこについては今回どうお感じになりましたか。

「限界を超える」という意味ではほとんどアートと同じだと思いました。アスリートも限界を超えることを目指しているし、僕もキャンバスという枠のようなルールをはみ出して、壊して、限界がないことを伝えようとしている。そういう根抵のマインドは同じだと感じましたね。

― 歴さんにとってアートを作る時の気構えはそこまで強いものなのですね。

かなりストイックに追い込んでいますね。ジムで体を鍛えて自転車でスタジオに行ったりと、フィジカル的にも鍛えた上で制作に臨んでいて。色んな人の作品を見ると分かるんですけど、やっぱりすべてにおいて“姿勢”って出るんです。向き合う姿勢が全部作品に出てしまうので、「どんな作品を創るか」よりも「どんな姿勢で生きるか」の方が重要なんですよ。そこもアスリートと少し近いのかなと思いますね。

― 今回、実際上がってきたプロダクトを見てどうお感じになりましたか。

今回のサングラスって、1個1個が違うんです。手作業というか、製品をスピンさせてその上に僕のストロークを再現しているんですけど、アート作品を造ったような感じですね。

自分の作品を特徴づけるブラシストロークが製品の上で息づいているようにするために、オークリー本社からたくさんの提案をしてもらいました。特別に開発した回転台の上に製品パーツを載せて、遠心力でインクが最適に混じり合うようにしてくれたので、インクの乗り具合によって製品一点一点が異なる表情を見せられるようになりました。自分の作品がまさしく製品上に生まれたと感じていて、今回は製品のコラボレーションをしたというよりアート作品の共同制作を行ったと感じています。皆さんが気軽にいつでも何処へでも持ち運んで、身につけて楽しめるアート作品になったと思います。

NYの現在、これからのアート活動

― ちなみにいまのNYのコロナの状況はどんな状況でしょうか?
(※この取材は、2020年7月16日に行われた)

いまは「第3フェーズ」くらいですね。ようやくアウトドアで食事ができるようになってきて、多少街に元気が出てきました。NYでマスクを付けている人なんて13年住んでて見たことなかったんですけど、ある日を境にみんな一斉にマスクをしはじめたのが衝撃でした。

― いまは非常に抑圧的に過ごさなければいけない時期だと思うのですが、これがアーティストにどう作用して、今後アートにおいてはどんなものが出てくると思われますか。

他の人のことはわからないのですが、自分の中ではこういう風に押さえつけられていたものが出てきて、もっと面白いものが作れる気がしています。今回[オークリー]と仕事をして、このサングラスはいろんな国の人が着用するものになるので、例えばカラーパレット上でも国旗の色と被らないようにとかのルールがあったのですが、僕はこれまでブルーとかの色が作品に多かったこともあって、今回そういう経験をした上で、自分の中でももっと色んな色を使ってみようという気持ちになりました。こういうちょっと暗い時代なので、もっとアートでも世の中を明るくしていけたらと思っています。

PROFILE
山口歴(やまぐちめぐる)
東京都・渋谷区出身。ニューヨークのブルックリンを拠点に活動する日本人アーティスト。「カット&ペースト」と呼ばれる絵の具をプラスチックシートに載せて乾かし、乾いた絵の具をカットし、3Dの筆跡/ブラシストロークをコラージュするかのように作品に貼り付けていく独自の技法を用いて、力強くアブストラクトな作品を制作。近年はブラシストロークが作品の表面から飛び出しているように見える「立体的で彫刻のような絵画」で、アートの可能性を広げている。

オークリー KOKORO COLLECTION ラインアップ

「KOKORO COLLECTION」では、全12モデルが展開(写真は一部モデル)

Radar® EV Path®(レーダーEVパス)/ Radarlock® Asia Fit(レーダーロック アジアフィット)/ Flak 2.0 Asia Fit(フラック2.0 アジアフィット) / Flak® 2.0 XL(フラック2.0XL)/ Sutro(スートロ)/ Frogskins®(フロッグスキン) / Frogskins Asia Fit(フロッグスキン アジアフィット)/ Frogskins XS(フロッグスキン XS)/ EV Zero Blades(EVゼロブレード)/ Flight Jacket(フライトジャケット)/ Jawbreaker(ジョウブレイカー)/ Airbrake® MTB (エアブレイクMTB)

〔CONTACT〕
ルックスオティカジャパン(オークリー)
TEL:0120-009-146
URL : www.oakley.com

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