[inGENERAL FASHION]2021年の チープシック (春夏編 3/3)
インジェネラルが考える2021年の“チープシック”。春夏編の第3回はシャツやTシャツなど軽めのトップスを主役にしたコーディネート。登場するのは[コモリ]、[グラフペーパー]、[テアトラ]、そしてリアルミリタリーなウォッチなど。
シンプルな中にこそ宿るもの
「男の服はシンプルがいい」、「男の服は普通がいい」と指南する本やブログが多数出ている。そうやって言われると、つい反対のことをやりたくなってしまう性分の人は編集人だけではないと思うが、実際のところかなり的を射ていると感じる。人にもよるだろうが、情報が多い服は飽きが来るのも“賞味期限”も早いものが多い。
特に仕事と普段着の境目のない人ほど選ぶのは、着心地も良くて、シンプルで気を遣わない、それでいて“いい感じ”になるもの。結局「朝、つい着てしまうスタメン服」というのは、そういうものだ。
当メディアは「ワンランク上のスタンダードを探す」メディアなので、「ワンランク上のシンプル」は切っても切り離せない。今回“2021年のチープシック 春夏編”というテーマの中で最後にお送りするのは、シンプルな中にさまざまな追求が垣間見える、現代のニュースタンダードな春夏ウェア。
Photo 畑中清孝 Kiyotaka Hatanaka(UM)
Styling 井田信之 Nobuyuki Ida
Model KATSUYASU
Edit & Text 武井幸久 Yukihisa Takei(HIGHVISION)
[COMOLI(コモリ)]のシャツをインテリジェントに着こなすユーズドミックス・コーディネート
“全ての洋服の原型は欧米から生まれ、ある目的の為に作られた物である”という考えの基、現代に向けての日常着を提案する[COMOLI(コモリ)]。ゆったりとした肩幅、ゆったりとしたシルエットが印象的なシャツは徐々に多くの人を虜にし、今や新定番的な位置付けになった。こちらの“バンドカラーシャツ”もそのひとつ。
上質な風合いは、細番手の双糸を旧式のシャトル織機で織ったオリジナル生地によるもので、程よい生地の張りが美しいドレープを生み出す。このシャツは長めの着丈でサイドの深いスリットが特徴で、まさにサラッと羽織っただけでサマになる一着。この美しいブルーの色合いも一役買う形で、どこかインテリジェントな雰囲気を醸し出してくれる。
[COMOLI]のシャツで特に印象的なのは背中。生地のドレープ感やシルエットの妙が後ろ姿に現れ、風をまとったような雰囲気はこのシャツ特有のものと言えるだろう。今回合わせたのは[COMME des GARÇONS HOMME PLUS]の古着パンツ。ブルーのシャツに黒のパンツという王道のコーディネートだが、表情のあるパンツを合わせることでより都会的でインテリジェントな雰囲気をプラスすることができる。
[INFORMATION]
シャツ¥24,000+TAX(COMOLI/ワグ インク)、パンツ¥28,545+TAX(ARCHIVE COMME des GARÇONS HOMME PLUS/RAGTAG 原宿店)、モックシューズ¥49,800+TAX(nonnative/カバーコード)、中に着たカットソー(スタイリスト私物)
[CONTACT]
ワグ インク
TEL:03-5791-1501
https://www.comoli.jp
RAGTAG 原宿店
TEL:03-6419-3770
https://www.ragtag.jp
カバーコード
https://coverchord.com/
[TEATORA(テアトラ)]の新作機能素材を使った春夏のセットアップスタイル
数年前からじわじわと市民権を得ていたが、ここ最近セットアップスタイルはすっかり街に浸透してきた感がある。スーツの延長のようなワークスタイルのセットアップも多いが、よりポジティブに、リラックスしたセットアップをカジュアルシーンで選んでいる人が増えた印象がある。
一つのアイテムの商品開発に膨大な時間をかけ、その検証を怠らない[TEATORA(テアトラ)]は、シンプルな中にファッションとしての実用性と機能性を熟考しており、その姿勢には哲学すら感じられるブランドだ。
[TEATORA]では特にセットアップ推しをしているわけではないが、同じ生地素材を使ったジャケットとパンツを組み合わせれば、かなり機能的セットアップになる。
今回チョイスしたのは同ブランドの新素材である“猛暑キャンセリング”の“DOCTOROID(ドクトロイド)”シリーズ。[TEATORA]史上最も涼しいという素材で、接触冷感、圧倒的な通気性、気化熱で熱放出に優れた超速乾性があるため、真夏でもセットアップスタイルを楽しむことができる。(ちなみに中のTシャツもDOCTOROIDシリーズのもの) まだ真夏が来るのは少し先だが、一回着れば手放せなくなる予感がする。
今回足元に合わせたのは、グレーがかったライトブルーが上品な[New Balance(ニューバランス)]の新作“ML2002R”。アッパーにヌバックレザーとメッシュパネルを使いながら、それを同色で綺麗にまとめている大人なスニーカー。それにしても[New Balance]のスニーカーはなぜこんなにもセットアップに合うのだろう。
[INFORMATION]
ジャケット¥64,000+TAX、T-シャツ¥14,000+TAX、パンツ¥34,000+TAX(TEÄTORA/テアトラ)、キャップ¥6,700+TAX(CA4LA/CA4LA プレスルーム)、シューズ¥14,800+TAX(New Balance/ニューバランス ジャパンお客様相談室)
[CONTACT]
テアトラ
https://teatora.jp
CA4LA プレスルーム
TEL:03-5773-3161
https://www.ca4la.com
ニューバランス ジャパンお客様相談室
TEL:0120-85-0997
https://shop.newbalance.jp/shop/default.aspx
[Graphpaper(グラフペーパー)]の定番パックTとシンプルなアクセサリーをメインにした白Tスタイル
日本人ほど“白T”に並々ならぬ情熱を持っている国は他にないだろう。かつては海外ブランドの白Tしかチョイスはなかったが、この20年ほどであらゆるブランドがさまざまな白Tを生み出しており、選択肢は広がっている。その中でもシルエットや製法に独自のこだわりが感じられ、愛用者も増えているのが[Graphpaper(グラフペーパー)]のTシャツ。今回チョイスしたのはその中でも定番の“2-Pack Crew Neck Tee”だ。
このTシャツの特徴は“丸胴”で高密度に織られた生地使い。日本で数台しか稼働していない吊り網機によるコシのある度詰め天竺コットンは、脇に縫い目がないことで着心地も良く、透けないため、1枚で着るのにも最適。独特のボリューム感のあるシルエットはもはや“東京”を感じさせる存在になっている。
シンプルな白Tスタイルに合わせたいのが、スタンダードかつ出自の確かなアクセサリー。今回はヴィンテージの[TIFFANY&Co.(ティファニー)]のブレスレットをチョイスした。これは90年代の“BAMBOO”シリーズのもので、ヴィンテージ市場でも人気の高いモデル。価格は徐々に高騰しているので安価に手に入れるのは難しいが、良いものを持っておけばいつまでも使えることの好例だ。
合わせたパンツは人気上昇中の[STUDIO NICHOLSON(スタジオニコルソン)]のプリーツワイドパンツ“SORTE”。ワイドパンツも選択肢は多いが、このパンツは程よい厚みがあり、光沢感と少し起毛したピーチコットンツイル素材が上質で豊かな表情を醸し出している。深めの股上、ゆとりのある太めのシルエットはTシャツとのバランスも抜群だ。
[INFORMATION]
T-シャツ¥14,000+TAX(2枚パック)(Graphpaper/グラフペーパー)、タックパンツ¥43,000+TAX(STUDIO NICHOLSON/キーロ)、ブレスレット¥190.000+TAX(VINTAGE TIFFANY/ワールドリー ワイズ)、スクェアトゥのシューズ¥62,000(foot the coacher/ギャラリー・オブ・オーセンティック)
[CONTACT]
グラフペーパー
TEL:03-6418-9402
https://www.graphpaper-tokyo.com
キーロ
TEL:03-3710-9696
https://www.studionicholson.com
ワールドリー ワイズ
TEL:03-5369-6428
https://worldly-wise.baycrews.co.jp
ギャラリー・オブ・オーセンティック
TEL:03-5808-7515
https://galleryofauthentic.jp
リアルミリタリーのNATOベルトウォッチに天然繊維のメリノウールT、カーゴパンツを合わせたネオミリタリースタイル
東京・上野の「中田商店」は、かなり“本物”にも力を入れているミリタリー好きの聖地的なショップで知られており、いわゆるファッションメディアでは出会えないような隠れ名品に出会うことができるのが楽しい。1970年代に発行された『チープ・シック』の本でもミリタリーものをコーディネートに取り入れることを提案しているが、当時からその影響を受けた人々が通い、いまだにそのスタンスが変わっていない「中田商店」は、貴重な存在と言えるだろう。
その「中田商店」で取り扱っているものの中で今回チョイスしたのが、通常の蛍光塗料の100倍近くの発光を20年以上維持するという、スイスの[TRASER(トレーサー)]というメーカーの軍用時計。米軍にも正式採用されている実力派で、ご覧の通りデザインも良好。ファッション時計になっているようなミリタリー系ウォッチを選ぶなら、こういうモノホンを腕に巻いている方が洒落ているし、実用的だ。
ミリタリーなイメージの色を求めてあえて今回チョイスしたのは天然繊維であるメリノウールを天然由来の染料で染めた[Icebreaker(アイスブレーカー)]のTシャツ。「2023年までにプラスティックフリー」をブランドとして掲げ、ニュージーランド産のメリノウールにこだわっている同ブランドは、天然の調温機能や吸湿性、細菌増殖抑制など、数々の機能的利点を持つメリノウールにフォーカスし、サステナビティティの観点からも注目されている。
カーゴパンツに選んだのは、編集人が注目する新ブランド[TENEO(テネオ)]。古着のカーゴパンツなども当然いいが、あえて新作をコーディネートに加えることで、全体的にクリーンな印象に。EU圏の特殊部隊用のカーゴパンツをデザインベースにしながら日本製の機能性生地で作られているこのモデルは細部まで作り込まれており、長きに渡って穿き続けることができそうだ。
[INFORMATION]
T-シャツ¥10,000+TAX(icebreaker/ゴールドウィン カスタマーサービスセンター)、カーゴパンツ¥62,000+TAX(TENEO/テネオ)、ハット¥7,000+TAX(CA4LA/CA4LA プレスルーム)、ミリタリウォッチ¥48,000+TAX(traser/中田商店 アメ横店)、シューズ¥28,000+tax(New Balance/ニューバランス ジャパンお客様相談室)
[CONTACT]
ゴールドウィン カスタマーセンター
TEL:0120-307-560
https://www.goldwin.co.jp/icebreaker/
テネオ
TEL:03-6823-5955
https://teneo.work
CA4LA プレスルーム
TEL:03-5773-3161
https://www.ca4la.com
中田商店 アメ横店
TEL:03-3831-5154
https://www.nakatashoten.com
ニューバランス ジャパンお客様相談室
TEL:0120-85-0997
https://shop.newbalance.jp/shop/default.aspx
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