アメリカの[Brooks Brothers(ブルックスブラザーズ)]経営破綻に想うこと[編集人ブログ]
創業200年を超えるブランドが破綻した理由を考える
創業200年を超えるブランドが破綻
トラッドを代表するブランドともいえるアメリカの[Brooks Brothers(ブルックスブラザーズ)]が経営破綻というニュースが飛び込んできました。
WWDの記事
破綻の米「ブルックス ブラザーズ」競売へ 日本を含む国外事業は継続
個人的にはあまりスーツやジャケットを着ないし、特にトラッド好きとかではないので、そこまで身近な存在ではありませんが、高校生の頃にこのブランドの「紺ブレ」に死ぬほど憧れたし(高くて買えなかった)、やっぱり外せないスタンダードなブランドなので正直寂しい気がします。
日経新聞は「米ブルックス・ブラザーズが破産法申請 コロナで打撃」と、コロナ禍がダイレクトな引き金になったと書き、朝日新聞は「米ブルックスブラザーズが破産法申請 通勤減で需要低迷」と書いています。……通勤減が理由?
日経新聞の記事にあるように、コロナ以降はアメリカの大規模小売業の経営破綻が続いています。[J.CREW(ジェイ・クルー)]、[ニーマン・マーカス]、[J.C.ペニー]といったアメリカを代表するマスブランドやファッション系小売業が次々と倒れています。
気になってアメリカの[ブルックス・ブラザーズ]のサイトを見たら、今回の破綻がなんだかわかる気がしました。写真に使用されているモデルの表情や動き、サイト内写真の色の使い方がなんだかとても古臭く、悪い意味での1980〜90年代の匂いが。これを“狙い”じゃなくて、“素”でやってしまう感覚こそが破綻の根本理由では? と思うのです。「おい! もう2020年だぞ!」と社内外の誰も言わなかったのかなと不思議な気持ちです。
少なくとも自分はどんなにモノが良くても、こういうイメージを打ち出しているブランドの服は買えないなと思いますし、アメリカの若い世代も「おっさん服」として見向きしなかったんだろうなと推察します。
今でも定番のオックスフォードのボタンダウンシャツはいいなあと思うものの、以前に買おうと思って青山店に行ったら、やたらと裾が長くて、シャツ裾を出して着ることの多い自分にはちょっと難しいなと思って買わなかったことも思い出しました。
アメリカブランドって、こういう“変わらなさ”も魅力的だったりするのですが、やっぱりファッションの気分としては、もうちょっと時代に付いていくべきだったと感じるのです。
「定番」の上にあぐらをかき、「オーソドックス」という呪縛に絡めとられ、「変わらないことが美徳」になってしまったんじゃないかと勝手に推察します。経営にも何か問題あったのかもしれないし、その辺は全然詳しくないので何もコメントできないですが。
近年頻繁に使われる「アップデート」っていい言葉だと思っていて、どんなに定番でも時代が求めるものにしっかりアップデートしていくことがこれからのキーになる気がします。このメディアが「ワンランク上のスタンダード」というタグラインを置いているのはそんな理由です。
コロナウイルスは「業績が悪そうだな」とか「最近元気がない」みたいなファッションブランドの、3年とか5年の時間をバッサリ短縮するかのごとく破綻に追い込んでいます。そこで働いている人のことを考えると完全にやるせない気分になりますが、この先もこういう“アップデートできなかった”ブランドや小売店舗の破綻が続きそうな気もしています。(武井)
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