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Fashion

2020.07.13

英国ライダースジャケットの名門 Lewis Leathers (ルイスレザーズ)を日本で カスタムオーダー

夏に注文すれば秋に間に合う? 日本で採寸からオーダーまでのプロセスをルイスレザーズ・ジャパンのショップで徹底取材

英国ライダースジャケットの名門 Lewis Leathers (ルイスレザーズ)を日本で カスタムオーダー

Content

ルイスレザーズとは?

ルイスレザーズをカスタムオーダー

モデルが決まったら革の素材選び

カスタムオーダーで微調整&お好みの仕様に

テーラードの国イギリスだからこそ生まれたカスタムオーダー

ルイスレザーズとは?


Photo 清水健吾 Kengo Shimizu
Text 武井幸久(HIGHVISION)
取材協力 ルイスレザーズジャパン

ライダースジャケットの代名詞のひとつになっている[Lewis Leathers(ルイスレザーズ)]は、英国ロンドンで1892年に創業。紳士服店としてスタートしたこともあり、現地ではバイカーだけでなく、ファッション的にも愛されてきたブランドだ。ロックやパンクのミュージシャン、そのフォロワーたちに特に寵愛され、次第にファッション・アイテムとしても広く浸透、モーターサイクルジャケット・スタイルを語る上で欠かすことのできない存在として現在に至っている。

メイド・イン・イングランドにこだわり続けた歴史

ルイスレザーズ]の魅力を一段と引き上げている要素として、一貫して英国ロンドンのファクトリーでの生産にこだわっている点が挙げられる。多くの人気ブランドが生産数向上や効率化優先で海外に工場を作ったり、“ライセンスもの”に走って時には方向性を見失ったりもする中、[ルイスレザーズ]は英国ファクトリーでのプロダクションにこだわって淡々と生産を続けてきた。そうした硬派な歴史もブランドの魅力のひとつになっていることは間違いない。

数少ないコラボレーション

そうした「本物さ」に気づいた人はこのブランドの魅力に取り憑かれる。特にファッション方面からの協業の依頼も多いようだが、生産数に限度があることもあり、英国ではあえてその間口を広げず、ごく限られたブランドだけとコラボレーションを展開している。それが日本においては、[COMME des GARÇONS(コム デ ギャルソン)]、[Hysteric Glamour(ヒステリックグラマー)]、[THE REAL McCOY’S(リアルマッコイズ)]などのこだわりの高いブランドのみだ。

ルイスレザーズをカスタムオーダー

そうしたコラボレーションものの魅力も抗い難いが、今回紹介したいのは日本の総代理店であるルイスレザーズジャパンの直営店だけでできるカスタムオーダーのシステムだ。サイズが合うものがあれば卸先店舗などの在庫から購入も可能だが、生地、色、裏地、パーツ、そしてサイズ感の微調整までカスタム可能なのは、東京・原宿の店舗と大阪・南堀江の店舗だけ。今回はルイスレザーズジャパンのマネージャーである後藤恒明さんに、カスタムオーダーの魅力と一連の流れを教えてもらった。

カスタムに来るのはどんな人?

原宿店だけで年間800着にも及ぶという[ルイス]のカスタム・セミオーダー。どういう人が多いのかを後藤さんに聞いてみると、意外な答えが。

「注文に来る方は本当に多種多様なんです。ストリート系の人もいれば、モード系の人もいるし、ロックンロールな人、それから最近多いのは“リターンバイカー”の方ですね。以前バイクに乗っていて、最近また乗り始めた人がまた革ジャンを揃えに来てくださいます。あとは若いタレントの方が着ているのを見て憧れて入ってくる若い人も増えています。カスタムオーダーだからこそだと思いますが、体型もさまざまです。お腹が出てきた年配の方、身長が高くて痩せている人、ラグビー選手もお客様でいらっしゃるのですが、これまでライダースジャケットを諦めていたような体型の方でもカスタムできるからこその多様性だと思います」

モデルを選ぶところからスタート

まずオーダーにおける最初のステップは、メンズ、ウィメンズで合わせて30ほどあるラインナップの中からモデルをセレクトすることから始まる。後藤さん曰く、日本で常に人気なのは“Lightning(ライトニング)”と“Cyclone(サイクロン)”という2つのダブルタイプのモデル。一見すると似ているが、「ライトニング派」と「サイクロン派」にくっきりと分かれ、リピートで買う人も同じモデルを買うケースが多いそうだ。決して安い買い物ではないので、まずはそこで多いに悩むことになるだろう。

人気モデルの“ライトニング”と“サイクロン”の違いは?

左が[サイクロン]、右が[ライトニング]。[サイクロン]は裾のベルト部分が特徴的で、フロント胸部分のポケットは左にひとつ。[ライトニング]は胸のジップが左右2つあり、裾の部分にこちらも特徴的な2本のストラップがアクセント。

[ルイス]が初めてライダースジャケットを作ったのは“Bronx(ブロンクス)”というモデルで、いまだにイギリスではそのモデルがバイカーを中心に人気があるというが、ここ日本では“ライトニング”と“サイクロン”が人気を二分する形で君臨している。

1960年代頃になって、デザイン面を削ぎ落として生まれたのが“ライトニング”。当時からブランドを代表するモデルと言えると思います。一方で“サイクロン”は日本人が魅力を広めたというか、藤原ヒロシさんなど影響力のある人が『あの当時のサイクロンってよかったよね』という話から火がついて。1970年代の“サイクロン”はもっとボックスなシルエットで、人気もなかったからヴィンテージでもタマ数が少ないんですよ。シンプルなので日本人にとっては“ライトニング”よりもシンプルで着やすいという側面もあると思います」(後藤さん)

モード派の“ライトニング”、ストリート派の“サイクロン”?

現在主流になっているのが、オリジナルのものより少し細めに作られた「タイトフィットモデル」。シルエットの差は“ライトニング”は絞りが少し強め。そして“ライトニング”は背中の裾の部分がバイクに乗った時を想定して少しラウンドして長くなっているのに対して、“サイクロン”は前後の丈の長さがフラット。微妙な差とも言えるが、ここで大きく好みが分かれるそうだ。

「もう好みとしか言えないですが、例えば[コム デ ギャルソン]の場合は川久保玲さんが“ライトニング”がお好きなので、コラボレーションモデルもほとんどが“ライトニング”ベース。一方、藤原ヒロシさんは“サイクロン”好きなので、ストリートの人は“サイクロン”を指名して来ることが多いんです。『モードとストリート』みたいな感じですね(笑)」(後藤さん)

ちなみにカスタムのポイントとしては両モデルとも一緒。“ライトニング”の場合は裏地が赤の中綿キルティングがベースで、“サイクロン”はブラックニットと呼ばれる少し薄手のナイロン裏地がベースだが、カスタムする場合はスイッチすることも可能だという。

モデルが決まったら革の素材選び

左からシープレザー、ラットランドシープレザー、ホースレザー、カウレザー。モデルはともに“ライトニング”。

ライトニング”か“サイクロン”のどちらかで大いに迷った後に決めることになるのは、革の素材。[ルイス]ではシープスキンホースレザーカウハイドの3種類のほか、少し高級なラットランドシープスキンカウレザーのベジタブルタンニングのモデル合わせて5種類がある。

参考までにそれぞれの特徴をまとめてみた。

【シープスキン】
素材感 : 買った瞬間から馴染むような柔らかさが特徴で独特のシボ感がある。動きやすいので街で着るのには最適。
カラバリ : ブラック、ライトブラウン、ダークブラウン、ダークネイビー、ダークグリーンの5色展開
ベース価格 : ¥17,3000+TAX(ライトニング / サイクロンの場合)

【ホースレザー】
素材感 : シープよりも少し硬質で、光沢感があるのが特徴。カラーバリエーションも一番豊富でビビッドなカラーもある。
カラバリ : ブラック、ホワイト、ブラウン、レッド、イエロー、グリーン、ブルー、ネイビー、ターコイズブルー、ヴィンテージターコイズブルーの全10色展開
ベース価格 : ¥173,000+TAX(ライトニング / サイクロンの場合)

【カウレザー】
素材感 : もっとも革の生地が重厚で、きめも細かいのが特徴。クローム感のある仕上げになっている。
カラバリ : ブラックのみ
ベース価格 : ¥183,000+TAX(ライトニング / サイクロンの場合)

【ラットランドシープレザー】
素材感 : 通常のシープレザーよりもシボ感が控えめで、少しハリがあるのが特徴。
カラバリ : ブラックのみ
ベース価格 : ¥183,000+TAX(ライトニング / サイクロンの場合)

【ベジタブルタンニング・カウレザー】
素材感 : ラインナップされた素材の中では一番高級な素材。うっすらと茶色い本来の革が黒の下に感じられる色合い。
カラバリ : ブラックのみ
ベース価格 : ¥243,000+TAX(ライトニング / サイクロンの場合)

カラーをブラック以外の色に変更する場合、一律¥2,000+TAXチャージ。またツートーンなどカラーパターン違いでオーダーした場合、一色使用する毎に¥5,000のチャージ。EX)NAVY×BLACKの場合はブラス¥7,000+TAX、NAVY×WHITEなどカラーを2色使ってのパターンオーダーの場合はプラス9,000+TAX

選べる革はシープ、ホース、カウを合わせて5種類+カラバリ。シープレザーは全5色。ホースレザーは全10色。ラットランドシープとベジタブルタンのカウレザーは黒のみ。オーダー数で言えば黒が圧倒的に多いそうだ。

[ルイスレザーズ]はシープレザーがオリジン

少し意外だが、実は[ルイス]はシープレザーからスタートしたのだという。日本においては長年カウレザーのモデルが中心だったためその印象が強いが、オリジンは柔らかなシープレザー、そして今もっとも人気があるのがホースレザーだそうだ。

アメリカのレザーのブランドと逆パターンですよね。これは食文化の違いも大きくて、アメリカは牛肉でイギリスは実は羊の文化なんです。だから[ルイス]もヴィンテージものを調べるとほとんどがシープレザー。一時期日本ではカウレザーばかりを扱っていたので、意外と知られていないんです。現在のイギリスの[ルイス]ではファッションというよりもモーターサイクルの需要が多いので、ホースやカウの方が人気です。日本では最近の一番人気はホースレザーですね。あとはどういう風に着たいかだと思います。動きやすさはシープ、光沢感だったらホース、重厚さだったらカウハイドと覚えていただければ

ちなみに一度シープの柔らかさを知ってしまうと、元のホースやカウには戻れない人も多いそう。このレザーの素材選びの豊富さも、[ルイスレザーズ]のカスタムオーダーの魅力だ。

カスタムオーダーで微調整&お好みの仕様に

“ライトニング”、“サイクロン”ともに裏地の変更が可能。赤の中綿キルティング、黒のブラックニットはカスタム料金はかからず、タータンチェックの場合のみ7,500円+消費税がプラスになる。

モデル、革の素材が決まったら、ここからカスタムがスタートする。カスタムできる箇所は以下。

① 着丈、袖丈、裾幅の採寸、調整
② 裏地の変更(赤の中綿キルティング or ブラックニット or タータンチェック)
③ ジップテープの色の変更(ブラック or ベージュ)

①から③までで追加料金は一律1万円+消費税(裏地をタータンチェックにした場合のみ、さらにプラス7,500円+消費税)となっている。

テーラードの国イギリスだからこそ生まれたカスタムオーダー

ルイスレザーズ]は以前はロンドンに工場が1つしかなかったため、カスタムオーダーをすると「2年以上待ち」の時代もあったという。現在は工場が2つに増えて稼働力が上がったため、コロナ後の2020年7月現在でも「約3ヶ月以上」で届くようになっている。今回、長年[ルイスレザーズ]に携わるルイスレザーズジャパンの後藤恒明さんに取材したことで、少し興味深い話を聞くことができた。

普通のアパレル工場や他のレザージャケットのブランドも、服を工場ラインで組み立てているところが多いと思いますが、[ルイス]の場合は1着を一人の職人が仕上げるんです。生地の裁断は別ですが、その組み立ては一人が行うのはテーラードの国・イギリスならではという気がします。伝統的な作り方もしているので、その分職人を育てるのにも時間がかかるんですよね

日本のストアで採寸、英国の工場で生産

日本の[ルイスレザーズ]の原宿店と大阪・南堀江店では、体型に合わせて3つの採寸ポイントを採用している。それが袖丈、着丈、裾幅の調整だ。これが意味するところは、採寸したデータは[ルイス]の英国の工場に送られ、その人に合わせた裁断からスタートするということだ。

ルイスレザーズジャパンでは独自の採寸基準を持ち、その人の使用用途や、着方などの話を聞いた上で採寸してくれる。

ライダースジャケットがベースで袖が少し長めに作ってあるので、少し袖を短くする方は多いです。あとはフロントのジップを閉めないという方も多いですが、やっぱり閉められた方が良いので、裾幅も調整します。あとは着用する時にベルトをするのかしないのかなどを含めて考えて着丈を調整する、この3点でだいたいのフィットは作れると思います

袖は吊るしの状態が少し長めに作られているので、数センチ短くする人が多い。

「お腹が出てきた」という人にもありがたい裾幅調整。フロントジップが閉まらないのはやはり避けたい。

裏地の選択肢は3種類。赤のキルティングは[ルイスレザーズ]を象徴するもの。ただし内側にボリュームがあるので、着込みたい人にはブラックニットの方がおすすめだそうだ。

最後に悩むパーツ選び

ジップテープはブラックもしくはベージュのどちらかを選択可能。

モデルの選定、採寸、裏地まで決まった最後のところで再び頭を悩ませるのが、2つのパースの選択だ。ひとつはジップテープ。黒がデフォルトだが、ヴィンテージの雰囲気が出るベージュの方も人気があるという。位置によって異なる色の指定はできず、全体のイメージにも影響があるため、これも大いに悩むところ。

そして最後に選択するのがフロントのレザーパッチラウンド型が一般的だが、よりクラシックな雰囲気が出るスクエア型と甲乙付け難い。ただしカスタムでしかスクエアなパッチはないため、カスタムをした証としての人気も高いという。

フロントのレザーパッチは2種類。ラウンド型がデフォルトで、スクエアタイプはカスタムオーダーだけで指定できるもの

夏にオーダーすれば冬に届く? 納品までの期間

前述したとおり、2020年7月現在のオーダーから納品までの時間は「約3ヶ月以上」。つまりこの7月、8月のタイミングにオーダーすれば、10月、11月頃のレザージャケットがちょうどいい季節に到着するというわけだ。やはり秋から冬にかけては工場もかなりの量の納品に追われる時期でもあるため、秋にさしかかってから注文すると時間がかかる場合もあるという。

実はこれを書いている編集人もかつて原宿店でシープレザーのカスタムオーダーをしたひとり。その時も約3ヶ月くらいの納品予定だったが、到着までの待ち遠しい期間は忘れられない。

長く愛着の湧く一着を探しているなら、この[ルイスレザーズ]のカスタムオーダーはおすすめだ。この秋に向けて自分にフィットした一着をオーダーしてみてはいかがだろう。

ルイスレザーズ原宿の店内。ルイス関連のグッズも豊富に揃っている

〔CONTACT〕
ルイスレザーズ ショップ原宿
TEL:03-6438-9215
https://www.lewisleathers.jp/

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Editorial

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