写真家・瀬尾浩司 による2つのテーマの写真展
TAKEO KIKUCHI渋谷明治通り本店3Fのカフェ跡地で、実験的な“POP UP GALLERY”を期間限定で開催中
写真のプリント媒体にも注目
写真家の植田正治に師事し、広告やファッションの世界で活躍している瀬尾浩司。銀塩写真技術や機材、フィルム、印画紙を守ることを目的とした「ゼラチンシルバーセッション」などの活動でも知られる写真家が、2つのテーマを持った写真展を東京・原宿の同一会場で開催中だ。
「TAKEO KIKUCHI 渋谷明治通り本店」の3Fには人気のカフェが入っていたが、新型コロナウイルスの影響も受け閉店。一時的に“空き”となったこの空間を活用する形で、廃材なども利用しながら“POP UP GALLERY”をオープンすることを発案した瀬尾は、ここで2つのタイトルの写真展の開催を企画した。会場では2つの写真展がクロスオーバーするような形で、ユニークな展示も試みられている。
自然現象である水面をグラフィカルに捉えた『BEYOND』というタイトルの写真展は、コロナ渦を受けて写真家が改めて日常の現実を写した新作の作品群。絵画やグラフィックのようにも見える作品は、ダイナミックな大きさのプリントになっていたり、分厚いアクリル板にプリントしてあるものなどが会場には並んでおり、そのプリント媒体によって写真の表情も大きく異なっている点にも注目したい。
一方の『イメージの再生(A Rebirth of Images)』の展示は、過去に瀬尾自身が[40ct&525 by TAKEO KIKUCI]のキャンペーンビジュアルやルックなどを撮影した写真をまさに「再生」したもの。シーズンが終わると世に出なくなってしまうのが宿命のファッションのシーズンイメージを、「サステナビリティ」という視点で再提案するこのシリーズは、アートディレクターの松崎理がアートワークを施すことで、新たなイメージを獲得している。
このシリーズでは、近年再注目されているレトロな印刷手法のリソグラフによるプリント、あるいは大判ビニールシートにプリントすることによって、ポップアート的な感覚の作品に仕上げられている。
2つの写真展は異なるタイトルでありながら、根底に流れているテーマは近い。これまで見ていた日常を捉え直すことがテーマの『BEYOND』と、タイトル通りの『イメージの再生(A Rebirth of Images)』。それぞれ異なる手法やテーマではあるものの、捉え方、見せ方、考え方一つで同じものが別の形として提案が可能であること、そして今後のクリエイティブの可能性の一端を感じることができる展示だ。
[INFORMATION]
『BEYOND-PHOTO by. HIROSHI SEO』
会期 : 2021年4月2日(金) 〜5月5日(水) 11:00AMー20:00PM
会場 : TAKEO KIKUCHI渋谷明治通り本店3F(東京都渋谷区神宮前6-25-10-3F)
『イメージの再生(A Rebirth of Images)』/ 併設展『BEYOND』
入場料:無料
Editorial
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