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2020.09.13

ふつうの考察 ー深澤直人『ふつう』を読むー[編集人ブログ]

「ふつう」を追求し続けるデザイナーの「ふつう論」。深澤直人さんが文中でリコメンドしたものも合わせてご紹介

ふつうの考察 ー深澤直人『ふつう』を読むー[編集人ブログ]

Content

「ふつう」を追求し続けるデザイナーの「ふつう論」

では、ファッションにおける“ふつう”とは?

『ふつう』の中で紹介されていたもの

「ふつう」を追求し続けるデザイナーの「ふつう論」

日本を代表するプロダクトデザイナーであり、日本民藝館館長でもある深澤直人さんによる『ふつう』(D&DEPERTMENT PROJECT 刊)を読みました。「普通」という意味も持つ名前(『inGENERAL(インジェネラル)』)というメディアの編集人としてはスルーできないタイトル。もちろん深澤さんの生み出すプロダクトの数々も拝見しているし、東京・駒場の日本民藝館にも何度か足を運んだこともあるので、やはり気になってしまったのでした。

約50本のコラム形式になっているこの本は、D&DEPERTMENTが不定期に刊行している『d design travel』と『d long life design』の連載を1冊にしたもの。『d design travel』も東京編・京都編・栃木編は購入させてもらっているし、D&DEPERTMENTというお店、ナガオカケンメイさんの考え方にも共感することが多く、自分的には読む前からある程度内容の方向性はわかっていたので、Amazonポチリ。(Amazonでは品切れのせいか、この記事執筆時点では価格が定価より上がっています。ご注意ください)

深澤直人『ふつう』 ¥2,300+TAX
https://www.d-department.com/item/2018000100098.html
※ 現時点では品切れ。10月上旬に重版出来

『ふつう』は文庫本の変形サイズくらいのコンパクトな大きさで、ページ数は450ページ強ありますが、短い章立てになっているのと、文字も大きいのですらすらと読めてしまう分量です。届いて嬉しかったのは布地を使った淡いブルーの装丁の心地よさ。

近年自分はよっぽど装丁がいい本かアート系の本、あとはZINEのようなもの以外はデジタル(Kindle)で買ってしまうのですが(その方が寝る前に読みやすい、移動中も読みやすい)、これは座ってちゃんと読みたい本という感じ。もちろん本が置いてあるときの佇まいも良い雰囲気です。

15年にわたる連載をまとめたこの本を通して深澤さんが語っているのは、プロダクトやサービス、風景における“洗練された平熱感”の良さようなものだと受け取りました。過度にデザインされたものは飽きも来るし、時代が変わっても残るものは、その良さにすぐ気づかないほど“ふつう”であるということを、さまざまなモノや事象、風景をピックアップして語っています。

文中で深澤さんは「デザインされているもの」を敬遠します。ものがその目的に合わせて形になっているような、「デザインされていないデザイン」こそ美しいというのが深澤さんの考え方。まさに禅問答のような話なのですが理解できます。プロダクトデザインや民藝の世界では「用の美」とも言われたりしますが、深澤さんがこの連載執筆を通して考察しているのは、「用の美」からもう一歩踏み込んだ、時代の流れの中にも凛と立つ、気取っていない格好良さのように感じました。

読んでいてハッとさせられたのは「ふつうのもの みんなのもの」の章。
ものの買い方が「古いとか新しいとかではなく、新品とか中古でもなく、業務用とか一般消費者向けということでもなく、存在するすべてのものから生活に合ったものを吟味する時代になった」というくだり。これは本当にそうだなあと思いました。

では、ファッションにおける“ふつう”とは?

この本に書いてあることは、ファッションに当てはまる部分もある気がします。個人的には新品も古着も関係なく、「着たいものを着ている人がかっこいい」派で、逆に押しつけられたり抑圧された上での「普通さ」は格好わるいと思う前提はあるのですが、自分が「あ、この人の格好いいな」と思う人の服装は、それがどんなものであれ「普通にハマっている」感じがします。シンプルに言えば着こなしているということ

さて、ファッションにおいてそういうものってなんだろうと考えると、キッチンやインテリアと違うのは、ファッションにおける“ふつう”は結構目まぐるしく変わるということです。たとえば永遠のスタンダードだと思われていたLevi’s® 501®の股上の深さやシルエットが妙に野暮ったく感じたり、一昨年くらいまで何気なく着ていたTシャツのサイズ感がビッグシルエット主流の街中ではダサく感じてしまったり。

本人がそこまでトレンドを意識してもしなくても、一歩街に出れば時代感が求める服装でありたいというのは特に日本人特有の感覚かもしれませんが、「時代の中でちょうどいい感じ」でいることは結構大変なことのようです。

『inGENERAL』も、さまざまな情報を検証しながら、今の「ワンランク上のスタンダード」を追いかけ続けられるといいなあと思っています。

『ふつう』の中で紹介されていたもの

最後にこの本の中で深澤直人さんが紹介していたものをピックアップ。
URLは編集人調べなので、購入などされる前にはよく吟味ください。

無印良品の器(森正洋によるデザイン)
https://www.muji.net/lab/mujiarchive/140521.html

グランドセイコー(写真で紹介されていたのはHeritage Collection)
https://www.grand-seiko.com/jp-ja/collections/heritage

マルニ木工[nextmaruni]の椅子(深澤直人によるデザイン)
https://webshop.maruni.com/fs/maruni/c/naoto-fukasawa

GLO-BALL(ジャスパー・モリソンによるデザイン)
https://amzn.to/3ke0OPu

トヨタ クラウン(モデル不詳)
https://toyota.jp/crown/

マーナ バススツール
https://www.bathlier.com/i/1073-230501

NTカッター
https://amzn.to/3iEb2s5
いや、確かにこれは完成されている……。

無印良品 カトラリー(ジャスパー・モリソンによるデザイン)
https://www.muji.com/jp/ja/store/cmdty/section/S1070521
※無印良品ではジャスパー・モリソンによるデザインとは書いていませんのでご注意を

vitsoe(ヴィツゥ)の606 ユニバーサル・シェルビング・システム(ディーター・ラムスによるデザイン) 
https://www.vitsoe.com/jp/606

Artek(アルテック)のSTOOL 60
https://amzn.to/3bQfcKI

±0(プラスマイナスゼロ)アルミ両手鍋 18cm(深澤直人によるデザイン)
https://store.shopping.yahoo.co.jp/alphamarket/pmz-00011.html

D&DEPERTMENT 水切りかご([la base]水切りかご)※文中に具体的な記載なし
https://www.d-department.com/item/LABASE.html

ALESSI(アレッシイ)カトラリー ITSUMO(深澤直人によるデザイン)
https://alessi.jp/products/detail/878

ROBBE & BERKINGのシルバーウエア
https://www.j-silver.com/html/robbe/

台湾ガラス[TG]のコップ(深澤直人によるデザイン)
https://100per.com/product/tg

TAOBAO Choice の Elements of Life(深澤直人によるデザイン)
https://naotofukasawa.com/news/2395/

アクアの冷蔵庫(深澤直人によるデザイン)
http://aqua-has.com/point/fridge/tz51h/
Amazonにもありました。
https://amzn.to/2FoX3rz

中川原信一 あけび蔓細工 脱衣籠
https://amzn.to/2ZyA5VN
※こちらは書籍しか見つかりませんでした

ぜひ参考にしていただければ幸いです。書籍の『ふつう』で読むと、紹介されている意図も伝わってきます(武井)

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では、ファッションにおける“ふつう”とは?

『ふつう』の中で紹介されていたもの

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